良い品質の製品をつくるためには、良い材料を使って、力量のある人が、正しいやり方で、管理された設備を用いて製造する必要があります。その「良い材料(仕入)」や「力量のある人(外注)」を確保するためのプロセスについての要求事項です。
この項は、購買に関する要求事項です。ここでいう「購買」の定義ですが、仕入れや外注等、組織によって何が購買の対象となるのかを決める必要があります。
ここでは主に、外注を例に説明します。
8.4.1 一般
まずは、このプロセスで管理すべき購買品の対象は、以下に記載の3つの項目に該当する場合には、購買管理を行うことを求めています。
1.購買の対象となるものが、自社の製品やサービスに組み込むものである場合が管理の対象となります。事務職の方で購買というと、ア○○ルやカ○○○トなどの事務用品の購入などが浮かぶ方も多いと思いますが、ここでのポイントは、品質に影響を与える購買が対象であるということです。事務用品が自社の品質に影響があるのであればもちろん購買の対象になります
2.購買品が、直接お客様に収められる場合。
私が勤務していた工場では、外注先に作ってもらった製品をそのまま納品する製品があり、直送や直納といっておりました。
3.工程や工程の一部を外注として社外に依頼する場合。
2の場合でも、製造プロセスのすべてを外注する場合「丸投げ」と言っていたのですが、製造プロセスの一部分を外注するケースも多々あります。これを指しています。
購買に関する取引先は、どこでもいいわけではなく評価基準を定め評価して、自社の品質水準を維持する必要があります。こち論この評価の記録は残しておく必要があります。
8.4.2 管理の方式及び程度
購買のプロセスが自社の製品品質のグレードに悪影響を与えないために、どのように管理するのかという要求事項です。
1.例えば製品に不具合があった場合やクレームが発生した際に「これは外注なのでわかりません…」や「外注先の仕事なので記録がありません…」ということは許されません。外注であろうが仕入であっても、自社のQMSの管理下にある必要があります。これを確実にするための手順を求めています
2.管理の手順は、外注先の管理手順と、外注先がアウトプットした製品の管理手順と両方を定めることを求めています。外注先がきちんと作っているから、ちゃんとした会社だからと言って、出来上がった製品の管理は免除されません。また、どんなに製品品質がよろしいからと言って、外注先の管理を免除する事も許されません
3.管理の方式や程度を決定する際には、お客様の要求事項や、コンプライアンスなど全てを満足させる自社に与える潜在的な影響も考慮します。また、外注先が行う管理の程度や制度などの有効性も考慮します。例えば、ISO9001の運用が長く、十分な経験や力量のもと適切に管理できている外注先と、創業間もない外注先では管理の程度は異なりますよね。
4.外注した製品やサービスなどが問題ないことを確実にするために必要な検証などを明確にすることも求めています。受入検査などをイメージです
8.4.3 外部提供者に対する情報
この項では発注や依頼の際に購買先に渡す購買情報などに関する要求事項です。
まず、自社から社外に発信する情報が間違っていたり、不十分でないことが重要です。これに加えて6項目の要求を求めています。
1.どんなプロセスを依頼するのか?なんの製品やサービスを依頼するのか?
2.いつくかの商品に関する要求事項です
①成果物である製品やサービスの承認
②やり方や工程使用する設備など承認が必要であれば含めます
③リリースとは引き渡しです。製品やサービスを引き渡すことの承認
承認とは、これでいいよ!と許可を与えるイメージです。自社の許可を取ってからでないと、勝手に行ってはダメですよ!ということは最初に伝えておきましょう
3.外注品など特に、力量や適格性などあればもちろん明記します
4.自社と購買先の相互作用
5.購買先の成果の管理やモニタリングについて該当する場合は含めます
6.もしも購買先で検証や妥当性確認を行う場合は、それに関する情報も含めます