この項では、品質目標を確立(設定)する事に関する要求事項が記述してあります。
品質目標とは、品質方針を実現するためのマイルストーンのようなものです。
部署別やプロセス毎、階層毎など組織の規模に応じて設定されるものです。
中小零細企業あれば部署毎に設定するケースが多いのではないかと思います。
トップマネジメントがコミットした品質方針の中で品質目標の設定のための枠組みというものが明示されます。わたくしの場合は、トップマネジメントに、品質目標として取り組んでほしいテーマを決定し、アナウンスしていただくようにしております。
全社一括でアナウンスされる事や、部署別に取り組むべきテーマを提示されるケースがございます。正解はないので、組織の規模やトップマネジメントの意見を聞きながら決定します。
その際、品質目標について満たさなければならない条件が7つ求められています。
一つ目は、品質方針と整合していることです。品質方針と品質目標のつじつまが合わず、ちぐはぐにならないようにしてください
二つ目は、品質目標は測定可能である必要があります。「すごくよくなった」や、「とても少なくなった」などの主観ではなく、「46%向上した」や「50%削減できた」といった形が測定可能な状態です。
三つ目は、もしその品質目標に適用される要求事項があれば、その要求事項も考慮に入れるということです。
四つ目です。品質目標は、製品やサービスの適合(要求事項への適合や品質の向上など)と顧客満足の向上に関係している必要があります。
更に3つあるのですが、品質目標の内容や運用状況その結果を監視(モニタリング)することが求められます。品質目標は、関連する要員が正しく理解し達成のための役割を実行しなければなりません。そこで、要員に対して伝達する事ももちろん重要です。
最後に、必要に応じて品質目標や計画を更新する事も求めています。例えば、目標を達成してしまえば新しい目標に更新する必要があるでしょう。目標達成のために立案した計画では、目標達成が困難もしくはできない場合も計画を更新する必要がある。といったイメージです。
最後にこの品質目標の記録を求めています。書式を決めることで確実性が向上しますが、既存のものがあればそれを利用する事も可能です。大事なことは、様式の中に要求事項を実行したことが証明できる項目があることです。ぜひ、ご検討ください。
6.3 変更の計画
この変更の対象は、品質目標だけでなく、QMSの中で決定した手順やルール全般を指します。最初に変更の必要があるとなった場合、その変更は「エイヤー!」ではなく、計画的に行うことを求めています。
また、4つの視点を考慮する事も求めています。
一つ目は変更の目的はなんであるかを明確にし、変更した結果を考慮する事
次に、変更中も変更後もQMSの整合性が保たれている事
3つ目は、変更に必要な資源を明確にしそれが利用可能であること
最後に、その変更に関する責任と権限を割り当てること。です。
QMSの運用が滞る事や品質や顧客満足の低下は本末転倒です。急な変更だったからは理由になりません。お客様の手元に届いたものがあなたの会社の全てなのです。