まず最初に、品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために、その境界と適用の可能性(適用できるかできないか)を決定してね。と求めています。
適用範囲って自由に決めていいの?という印象があるかもですが、決めるときに考慮すべき内容が続いて記載されています。
一つ目が、4.1で定めた外部及び内部の課題
二つ目が、4.2で明確にした、利害関係者とその要求事項
三つ目が、組織の製品及びサービス
となっています。
これらを総合し、検討した上で適用範囲を決めてね。だそうです。
例えば、B工場が他県にあり、物理的な距離があるとします。しかし製品を作るうえでは、本社工場で加工した製品は、ほぼほぼ、B工場でのプロセスを経由し、製品になる。という場合に、B工場は他県だし適用しなくていいよね。というのは、お客様の視点で違和感がありませんか?物理的な距離に関係なく、一つの製品の品質を確保するためには、製品実現のすべてのプロセスについて適用する必要がある。と考えます。
こうやって検討し決定した品質マネジメントシステムの適用範囲は、文書化が求められています。例えば、組織図を用いる。プロセスフローを用いる。などが考えられますね。が、9001規格はマネジメントシステム規格で製品規格ではありません。よって、うちの会社たくさんの製品を作っているけど、この製品だけで9001番を適用しよう!というのも認められません。
文書化する際の媒体は、紙でなくてもデータでもよいです。また、『文書化』は『文章化』ではなく『文書化』です。図や写真、動画、限度見本なども可能です。今後もたくさん出てくる『文書化』も同様です。
次に決定した適用範囲について適用除外の要求事項があった場合についても記述があります。まず、適用除外となる製品やサービスを明確にして、適用できないと決定した規格要求事項全てについて、その正当性を証明することが求められています。
現在はほとんど適用除外とすることは少ない印象ですが、「8.3 製品及びサービスの設計・開発」に限って該当する事があるかもしれません。他の部分の適用除外は認められていません。
最後の二行には、顧客満足の向上に影響がなければ適用除外しても、規格への適合を表明してもよいとあります。
業種によっては、適用除外もありうるでしょうが、適用除外の正当性を証明するよりも、適用する仕組みを考えることの方が建設的かつ簡単な印象です。適用除外ありきで仕組みを構築するよりも、前向きな仕組みの構築が成功するカギだと考えます。