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品質 改善活動

4.1 組織及びその状況の理解

R6年元旦に発生した能登半島地震で、被害にあわれた皆様へお見舞い申し上げます。
ひと月以上たつというのに避難先でご苦労されている方々の心労を思うといたたまれません。
一日も早く日常が取り戻せますことを心よりお祈り申し上げます。

平成28年の熊本地震のあと、今回のテーマの要求事項である外部課題に、地震などの天災による生産活動の停止というものが加わりました。
わたくしの関与先でも、震源との距離によって復旧までの時間は大きく異なりましたが、翌日から一部の生産活動を再開した企業様もありました。
建屋の損傷がひどく、修理と作業スペースを確保することに多くの時間と労力を割かれている企業様もございました。

地震後も余震も長引きましたが、徐々に震災前の状態となりました。二ヶ月過ぎる頃には、わたくしの関与もほぼ地震前の稼働状況に近い状態まで立て直されました。この間、天災の被害による納期の調整はご理解いただけても、現場で生産される様々なモノを待っているお客様が全国にいらっしゃることを再認識しました。

「お約束した期日に、お約束した数量の適合品をお届けする」という、当たり前のことを実現するために、日々改善を行っているのですが、天災は致し方ない…と、あきらめるわけにはいきません!
熊本地震から時間は流れ8年。少し、地震に対する意識が薄れていたかもしれません。

もし、地震が起きたら…
もし、台風が直撃したら…

と、もしも…に備えておかなければならないと、できることを考えている最中です。
まずは現場を見て、問題を見つけてみようと思います。

あるべき姿は、「お約束した期日に、お約束した数量の適合品をお届けする」お届けできる体制であること。今一度、最悪の状態を想定しながら備えを考えてみたいと思います。

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PDCA 品質

9.3 マネジメントレビュー

皆さんこんにちは

今日は2023年11月30日です。
早いもので明日から師走ですね。

今日は、クライアントでも完了しましたマネジメントレビューについて思うところを書いておこうと思います。

マネジメントレビューはあらかじめ定めた間隔で行うことが要求事項になっているので、運用されている企業様で夫々お決めになられていることと思います。

わたくしのお客様では、半年に1回程度で、年間2回行うことが多いです。
もちろん1回でもよいのですが、1回だとイベント的要素が強くなるイメージがあります。

あってはならないのですが、マネジメントレビューと聞いて慌てたことはありませんか?
前回のマネジメントレビューで指示をうけた指示の内容について、速やかに着手しその経過や結果を次のマネジメントレビューで報告することでPDCAを回していきます。
しかし、マネジメントレビューが終わって、ホッとして、日々のお仕事に忙殺され…気が付けばマネジメントレビューの時期(^^;…。特に事務局兼任で、業績が良い企業様でありがちなケースです。これだとリカバリが結構大変です。
また、最近は何事のサイクルも早いですよね。1年だと、世の中の流れと合わないのでズレてしまいます。こういったことも含め、半年に1回をお勧めしたいところです。

9.3.2 マネジメントレビューへのインプットに記載のインプット事項は、内部監査以外はおそらく日々の内部コミュニケーションでモニタリングされている事項だと思います。

支援の中でインプットをお尋ねするとこれまでの内部コミュニケーションで上がった案件の記録をそのままインプットされる方もいらっしゃるのですが、マネジメントレビューでは、モニタリングの結果をまとめて分析し、傾向やトレンドについてインプットしていただくことで、中長期の視点での傾向管理とその対策が機能すると考えます。

日ごろやっていることはその仕組みをQMSに組み込めばよいですし、日頃できていないことはできるようにQMSに仕組みを作ることでQMSの有効性が向上すると考えます。

9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプットには、文書化した情報である記録を求めています。皆さんの組織でも、記録は当然、残していらっしゃると思いますが、これってマネジメントレビューだけでなく、日ごろの内部コミュニケーションでも記録がとても大事です。会議の議事録がきちんと残っているとマネジメントレビューの負担は最小に有効性は最大に機能します。

記録さえあればというわけではないのですが、記録がある事でPDCAが機能します。機能するための項目を様式に盛り込むのです。

1.会議の結果、やるべきことについて、誰が、いつまでに、何を成果として行うか
2.上記の報告は次回の機会でよいのか?別の機会(期日)とするのか?

大事なことは、いつまでに、何を、誰が、どうするのかを記録しておき、その記録のスケジュールを把握し、管理し、運用する事です。これが最初のP(計画)となります。

D(実施)は計画通りににやってみましょう。
C(チェック・確認、評価)は、やった結果を報告する際に行います。

A(処置)はアクト(act)は結果に対して行う行為や次の計画へのフィードバックといったイメージですが、アジャスト(adjust)の次のステップのために調整するといった方がイメージしやすいと感じることが多いです。

9001規格そのものが、PDCAサイクルで運用するのですが、項番の中にも小さなPDCAがちりばめられていますね。なんと機能的なんでしょう♪

マネジメントレビューも終わってからがスタートです。
今年もあとひと月となりました。
皆様もどうぞ、体調管理を万全に頑張ってくださいませ。

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コミュニケーション 品質 改善活動

責任と権限

9001規格の中に「組織の役割、責任及び権限」という要求事項があります。
「トップマネジメントは、関連する役割に対して、責任及び権限が割りあてられ…」
と続くのですが、関連する役割とは、組織の品質保証に関連する役割だと考えます。

品質保証部という部署があれば、責任者である品質保証部長の責任とはなにか?その責任を果たすために必要な権限とは何か?

品質保証部のスタッフの責任がどういったもので、それを確実にするための権限としてどのようなことが必要か?と展開していきます。

権限とは責任を果たすためのツールだと思います。
権限を行使するということは、責任を果たすために行う行動であると。

まれにではありますが、なんの責任を果たすためにその権限を振りかざすの?と感じる場面に出くわします。
また、こんなに多くの責任を抱えているのに権限が十分ではないのね…という場面にも出くわします。

前者は周りにいる人たちが本当に大変で、モチベーションが向上することはないでしょう。
後者の場合も、当事者は本当に大変で前向きに取り組み続けることは困難でしょう。
また、それをまじかに見ている人たちにとってもポジティブな印象にはならず、前向きな思考によるモチベーションの向上は期待できず、組織全体の士気の向上は望めないでしょう。その結果、組織にとって好ましい状況にはならないことは明白です。

皆さんの組織ではその役割に必要な責任は明確になっていますか?
その責任を果たせるだけの権限は与えられていますか?

もちろん、その人の力量もあると思います。
しかし力量があっても明確な責任と適切な権限がなければその人の力量を活かすことはできません。

改善が進まない時には一度、責任と権限を見直してはいかがでしょうか?
現状に合った責任と権限になっていますか?
本当にその権限で責任を果たすことができる内容になっていますか?

会社も人も毎日変化しています。
現状に適切でなければ、適切なように変えていけばよいのです。

具体的に動けば、具体的な結果がついてきます。
まずはスモールスタート、スピードスタートで具体的にやってみませんか?

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コミュニケーション 品質 改善活動

「伝えた」と「伝わった」

何か問題が起こった時に多くの場合「伝えた?」「聞いた?」「知っとった?(知っていた?)」と関係者に確認します。

すると、片方は「言うたばい」といい、もう片方は「聞いとらんばい」となることが多いです。「そんなこと知らんかった·····」というのもよく聞く言葉です。

ですがどちらも本当のことをおっしゃている事が多いのです。と言うより、どれも本当なんです。

これ「伝えた」が「伝わった」になっていないだけの事が殆どです。

私自身は個別対応でお仕事させていただく事が多く、例えるなら家庭教師のようなスタイルです。なので伝わるまで伝えるのが基本です。
「伝えた」のに「伝わっていない」ということはとても不思議なことでした。

しかし、職業訓練の授業やレクチャーのようなスクール形式(塾のような先生一人に、受講者が複数いらっしゃる)での出来事です。
発信する私は一人のはずなのに、受講者の数だけわかったの解釈が違うのです。

「伝わった」内容が皆さん違うんですね。
未熟なわたくしは経験するまでわからなかった事です。

しかも、それまでの経験で「こう言えば伝わる」と思って、話していた(伝えていた)ことが、ある時は大きな共感を呼び、ある時は、ザワザワしたりします。

わたくし自身は、「分かりにくかったくないですか?」「質問ないですか?」とこまめに声をかけます。お相手の表情を観察しながら、「分かってないかも?」と感じると結構、しつこく確認します。相手の状況を確認して例えも変えます。これって、個別対応では出来るけど、塾スタイルだと通用しないのです。もちろん声はかけはするのが、「他の人がいると聞にくい·····」「わかってないの私だけ〜?」となかなか、質問が出てきません。

実際、「伝わっていないなぁ·····」と感じても、終わらなければならない時間は決まっています。終わった後にも対応しますがタイミングは重要です。途中で、迷子になると、多くの場合、最後まで迷子のままなので終わった頃に聞きに行こう…とはならないですよね。

こういった有難い経験から気付きをたくさん頂きました。

1.「伝えた」は「伝えたつもり」と考える

2.万人に理解される「例え」は少ない

3.「伝わった」と判断するのは「伝えた私」ではなく「伝えた相手」である

そんなのは当たり前、と思われるかもしれませんが、本当に未熟な私には衝撃だったのです。

これが、最初の「言うた」「聞いとらんばい」につながるのだなぁ…と。

日常業務で起こる不具合や不適合の原因の多くには、1と3が大きく関係しています。

まずここに気づくと改善のスピードがあがりました⤴加速しました⤴⤴

是正処置や再発防止処置と難しくする前に「伝えた」が「伝わった」になっているかな?と考えてみてください。

簡単なようで奥が深いです。

「なぜわらない!」「なぜ、理解しない!理解できない?」と憤るより、「どう伝えたら伝わるかな?」と建設的に考えるとワクワクします。

手を変え品を変えとやり続けて、伝わったときの達成感は癖になります♪
更に前向きな思考や行動は自分にも相手にもポジティブな影響が大きいです。

本当におすすめです(*´︶`*)

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品質 改善活動

一流はすぐやる…

一流はすぐやる
二流はあとでやる
三流はあとでやろうとする

以前、勤めていいた会社のA社長(現在は会長)がよくおっしゃっていた言葉です。
「かおっちゃん、一流は何でもすぐすっとばい。だけん、なんでん今せんといかんとばい。後でするとは二流ばい。三流は、あとでしょ…て思うだけでせんとばい」
(私に呼び掛けて、一流はすぐやる、だから今すぐ行動しないといけないよ。後でする人は二流といわれるよ。後でやろうと、思うだけで結局やらないのは、三流だよ)
と、二十歳そこそこの世間知らずに、教えてくださっていました。
そのころ私は工場作業の傍ら、社長室の隅をお借りして、品質保証の仕事をやらせていただいておりました。

まぁ、A社長は常に、何でも、『今、すぐ、やる』ことが絶対でした。
こちらの都合はお構いなしに、「今指示したことに対して、今すぐ返答、若しくは対応」しなければ、ご機嫌がよろしくなくなってしまいます。
例えば数字。気になった数字は、今すぐ見たい、見なければならない、方でした。

熊本弁(不安だったので、調べてみましたら、関西から九州南部で使われるようでね…)で「せからしか」という言葉があります。
うるさい、騒がしい、やかまし、面倒臭い、のような意味なのですが…
勤めていたころは「せからしいお方…」と心の中でつぶやいていました(本当にごめんなさい)

ただ、実際に一流といわれる経営者の方々は、何事も「今、すぐ、やる」でした。
行動も、指示も、決断も、なんでも「すぐ」なので、そんな場面に遭遇すると「確かに」とうなってしまいます。

今日もうなってしまう出来事が…
関与先である企業様の第三者認証審査が終わりました。
審査は8月中旬だったのですが、その審査結果の記載された報告書が届きました。という、お知らせを審査報告書が届いたその日のうちにいただいたのです。
すると、その報告を受信した数分後に、改善が完了した旨の報告とエビデンスが担当の方から届きました。

担当の方は、審査後速やかに是正に取り組まれたようです。
以前から、なんでもすぐやる方でしたが、今日の対応は本当にうなってしまいました。もちろん、その企業様のトップマネジメントも、「今、すぐ、やる」社長です。

企業様の従業員の方や職業訓練などで、『フットワーク』が良く、素直でお伝えしたことをすぐ行動に移す方に出会うと、この人はきっと…と感じることがあります。数年前に、そう感じた社員さんたちが今現在管理職になって頑張っている姿を拝見して、『やっぱりね』とうなってしまいます。

『まなぶ(学)』は『まねる』が語源と聞きました。
うなってばかりでは進歩がないので、私も一流をまねて『今、すぐ、やる』を実践している毎日です。



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品質 改善活動

問題のみつけかた

「問題がないことが一番の問題」
という言葉は皆さんも聞いたことがあると思います。

また、「最近のモンは問題意識がない(低い)」や
「危機感がない(足りない)」などという言葉も耳にします。

うなずいた皆さんに質問です。
「問題」をわかりやすく説明してください。
「問題意識がない(低い)」人や「危機感がない(足りない)」人にわかるようにお願いします。

ここでは、問題を次のように定義します。

「問題」とは「現状」と「あるべき姿(状態)」との「差」である。

こんなイメージです。
「差」は「ギャップ」でもよいと思います。
この「差」が大きければ大きな問題。
小さいければ小さな問題。

問題を見つけることができない人たちは、大きく3つにわけることができます。

まず、現状はわかっているけど、あるべき姿がわからないタイプ

次に、あるべき姿はわかるけど、現状を把握できていないタイプ

最後に、現状もあるべき姿もわかっていないタイプです。

でも、この「現状」や「あるべき姿」がバラバラだと
その「差」も変わってしまうので「問題」の悩ましいところです。

もちろん、経営者と従業員では、「現状」の見える範囲や見え方が違います。
同様に「あるべき姿」も全く違います。

そこで、「現状」や「あるべき姿」のものさしを同じにする必要があります。

このものさしがより「客観的」であることが重要です。
見る人によって評価が変わる「主観的」であってはよろしくないということです。

お金は誰が見ても500円は500円で100万円は100万円です。
(その価値をどう考えるかは今は置いておきます)
500円あれば110円の中華まんが4個買えて60円のおつりがくる。
100万円であれば110円の中華まんが9,090個買えて100円おつりがくる。
的なイメージです。

「あるべき姿」も同じように考えます。

お金で例えて何ですが、お金は簡単。
品質保証はお金だけで割り切れないので、ここが難しいし面白いところなんです。

同じ業種、同じ規模であっても同じでないことが多い。
奥が深いです。なので3現主義で現場に行って、現物を見て、現実を知る必要があるのです。

嘆く前に一度振り返ってみてください。
現状のものさしは共通認識になっているかな?
あるべき姿としてつくった手順書やマニュアルは同じものさしでつくられているかな?
そして、現場に行ってみてみてください。
1日立ちんぼする気持ちで。(可能であれば椅子持参が良いと思います^^;)
何日か続けてみることで必ず見えてくるものがります。

自分以外は自分ではないのです。
自分だけでは品質保証はできません。
ものさしをお揃いにして、問題をみつけることからはじめませんか?

2022年8月6日

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パソコン操作 品質

ISO9001の改訂

ISO規格は5年に一度見直しが行われ規格本文の改訂が行われるお約束です。
2015年に改訂版が発行され7年。あれ?うちのマニュアル参照規格は2015年だぞ…と思われた皆さん、今回は2020年に規格の改訂は行わないと国際標準化機構で決定され公表されています。

この事実をどうとらえるか?
「改訂ないの?改定しなくてよいの!よかった ε-(´∀`*)ホッ 」

日々の業務の中では色々なことが起こり、見直しや変更、改善が行われていると思います。これを人の記憶にだけとどめておくと、どうしてもアバウトになってしまい、うやむやになってしまいます。わたしは伝言ゲームのイメージがしっくりきます。最初に決めたことが人を介するうちに全く違うことになっていたといった感じです。

だから記憶より記録。文書化することで振り返り時に「こう決めた」という振出しに戻れると思います。(もちろん、マニュアルを見る。という行動は必要です。また、これを定着させることも難しいのですが…別の機会にゆずります)

専任者がいない企業では、改善などでの変更があっても次の改訂の機会にマニュアルに反映しよう…となっているケースが多く、次の改訂までの時間が空けばあくほど、記憶は曖昧になっていることが多いです。しかも自分オリジナル解釈になっていることも多いです。

せっかく改善したのだから、”連絡文”や”周知文書”といった形でよいので文書化しておくことで、思い出す時間のロスも少なくなるのではないかと思います。

ここでもう一つ加えていただきたい項目として、そういった手順になった理由や目的、原因です。
この”理由”や”目的”がはっきりしていないと、決めたやり方はやりにくいから等の理由で元に戻ってしまったり、後々の見直しの機会などで不要と判断され手順がなくなってしまったりする要因になっていることが多いです。

ここで今日のテーマですが、「ISO規格の改訂=マニュアル改訂の機会」という企業もあるかと思います。規格の改訂がなかったからよかった…的な感覚で、せっかく行った改善が定着しないことはもったいないですよね。また、再発といったリスクも増加します。

確かに、数十ページのマニュアルや文書を改訂し、印刷し、文書管理しというとお金も時間もかかりますよね。しかし、ISO9001が誕生した1994年ごろと違い、今はパソコンやスマホのようなデバイス(情報にアクセスするための端末)とデータを共有するためのサービスが身近に安価に手に入るようになりました。パソコンとインターネットの環境があれば、コストをかけずに紙に印刷しなくても簡単に文書を共有することも可能になりました。しかも、文書管理の手間も紙マニュアルの配布と比べると10分の1以下で可能です。

初めての方には難しいイメージがあるかもしれませんが、習うより慣れろで、できる内容も多いです。ご興味があられる方は是非、文書共有などのキーワードで検索してみてください。いろいろなサービスが提供されています。
大変、たいへんといながら何回もやるより、改善の方法を探す方が建設的です。
必要は発明の母ですよね。

このテーマでお伝えしたかった事
 1.記憶より記録の方が楽に確実に運用できる
 2.あとで…や次の機会に…よりも、すぐやるほうがロスが少なく効率が良い
 3.大変だと嘆くより楽にできる方法を探すための方法を考える