Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 7.5 文書化した情報

この項では文書に関する要求事項が記述してあります。
文書は文章ではなく、文書です。図や写真、動画や限度見本も含まれます。
また文書には、文書と記録に分類できます。

最近は紙よりデジタルの方が多いのですが、基本的な考え方は同じです。
紙でも、デジタルでも原本をしっかり管理することが大事だと思います。

まず7.5.3.1では規格が求める文書化した情報を求めています。
例えば、QMSの適用範囲や品質方針などです。

次に自社でQMSの有効性のために必要だ!と決めたものを求めています。
マニュアルや手順書、書式などを指します。

続く、7.5.2作成及び更新に関する要求事項です。

文書を作成したり更新する時は次の事項を確実に行ってくださいね。というものです。

1.タイトルや作成・更新日、作成者や参照番号で識別できるようにすること
書類を拝見するといきなり本題に入っているので、この部分が確認できないことが多いです。文書本文に記載するようにするとよいです。ちなみに参照番号は、タイトルと作成、更新日、版数が明確であればなくても大丈夫なことが多いです。もし、文書類があまりに多いようであれば、参照番号はとても有効です。

2.次に形式や媒体は問いませんよ。と言っています、紙でも、データでもOKなんです。

3.最後に、作ったり更新したりした文書が適切で妥当であることをレビューして承認してね。とも言っています。

最初の識別で作成者とありましたが、作った人より誰が承認したかが大事なんです。
承認とは、この文書のやり方は適切で妥当であるから、これでやってOKだよ!というものです。つまり、文書に書いてある通りに行ってよろしくないということは、承認者が責任を取るべき事なのです。承認とは、本当に重い責任を伴う言葉だと思います。

7.5.3 文書化した情報の管理

文書管理の対象は、それに基づき仕事をするマニュアルや書式のような「文書」と、行った結果について記録する「記録」があります。いずれにも共通する要求事項です。

まず、7.5.3.1です。
文書化した情報は以下の事項を確実にするために管理します。
まず、文書は必要な時に、必要な場所で、利用できること
次に、文書化した情報が、漏れたり(情報漏洩)、不適切に取り扱われたり、必要な時につかる状態でなくなっていたりしないよう保護することを求めています。

紙でも、データでも該当する事ですが、特にデジタルデータで保存する場合など、情報セキュリティ3要素である、「機密性(Confidentiality)」「完全性(Integrity)」「可用性(Availability)」に配慮し適切に管理しましょう。

次に、7.5.3.2です。
文書化した情報の管理に当たって、該当する場合には、必ず次のことに取り組むことを求めています。

1.配布、アクセス、検索及び利用
誰にその文書を配布するのか?配布をしないで、利用者にアクセス権を持たせる場合、本来アクセスしてはいけない人が見ることができないようにします。検索して利用する場合も同様に管理します。

2.読みやすさが保たれる保管と保存
保管していたら読めなくなってしまったとならないようにします。
ランサムウェアによる暗号化や地震や家事などの災害で使えなくなった場合に備えて、適切にバックアップを行い管理する事も検討してみてください

3.変更管理
変更はこまめに行われているのですが、変更管理が適切に行われていないので、どれが最新版で、どれが旧版なのか?変更点はどのように変わったのか?がわからないケースが多いです。クラウドに保存していれば世代管理で履歴をさかのぼれるのですが、何もしていないとわからないケースが多く、「これいつから発効したの?」と困ってしまいます。

4.保持と廃棄
いつまで保持し、いつになったら廃棄するのか決めておかないと文書に押しつぶされてしまいます。適正な期間や期限を決めます。法律で求める保管期間が優先されます。特に求めがないものは、自由に決めてかまいません。また廃棄でよいのか、破棄が必要なのか?については、現状の運用と併せてけってしていけばよいでしょう。

外部文書についても、管理の必要性を評価し管理する必要があります。例えば、機械の取説。家電のようにネットで検索できることは少ないと思います。なくならないように管理の対象としてくださいね

「適合の証拠として保持する文書化した情報」とは記録のことです。記録に関して意図しない改変?わたしはあまりなじみのない言葉ですが、「内容を変えて、違ったものにすること」問う意味があるそうです。記録の内容が変わる事が無いようい保護することが求められています。

文書管理は地味な作業ですが、品質保証では製品実現と同じぐらい肝になる重要な要求事項です。手間とヒマは最小限に確実な運用ができる仕組みを検討してください。

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 7.4 コミュニケーション

社内、社外とコミュニケーションがない組織はないと思います。

ここでは、品質マネジメントシステム(以下、QMS)に関するコミュニケーションに関する要求事項です。

下表のような形でまとめておくとよいと思います。備考欄には、要求事項ではありませんがそのコミュニケーションの記録を明確にしておけばより好ましいと考えます。(○○記録、○○議事録など)

表:コミュニケーション一覧表

はじめてISOに取り組む際に、コミュニケーションといわれ、身構えてしまい、ISO会議やISOミーティングなど新たに設定されるケースも多々見受けられます。もちろんダメではありませんが、今行われている会議やミーティング等の機会を活用されることをおすすめします。ISOと日常業務を併せていかないとダブルスタンダードになる可能性が大きくなります。

また、内部コミュニケーションだけでなく、外部とのコミュニケーションも記載しておきましょう。お客様アンケートや調子伺い、定期訪問なども「コミュニケーション」として、一覧表に記載の内容を明確にして運用すれば立派なデータ収集や改善の機会になります。

これ以外にも、同業者の会合などは情報収集や業界動向などの把握も品質マネジメントシステムに関するコミュニケーションです。これまでの組織運営の中でやってこられた事を仕組みに組み込み、運用しながらブラッシュアップする事が無理なく継続できるコツです。

ちなみに、「たくさんあるわぁ~」という企業様の場合、一度見直し統合などを検討してもよいかもしれません。内容が重複している者や、出席者が似ているコミュニケーションは実施時期を合わせる。流れで行うなどすると、効率や生産性が向上する可能性が大きいです。

組織においてなぜかわからないけど、ずっとやっていてやめられないという、仕事やイベントって結構多くあります。見直しの基準は、その行為の目的は何なのか?で判断します。もちろん、自分たちだけで判断すると見誤る可能性が大なのでしかるべき人に確認した上で、責任と権限のある方に承認いただいたうえで整理する事はマストです。

議事録の様式については、コラムでご紹介しておりますのでご参照ください。

更新 2024年10月22日

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 7.3 認識

力量は、業務に関するスキルを中心とした要求事項でしたが、認識は組織で働く上での心構えや姿勢のベースとなる部分に関する要求事項です。

  • 組織で働くすべての要員に、品質方針を周知する事が求められています
  • 次に要員に関連する品質目標です。自身が所属する部署の品質目標を知らない…ということがあってはいけません。ちなみにこの二つは暗記しておかなければならないということではありません。品質方針を工場内に掲示しておいて、それが自社の目指すべき品質方針であると認識しておくことが重要です。品質目標に関しては、要員の関与が重要ですので、自部署の品質目標に加えて、その達成に向けて自身の役割を認識しておく必要があります。(自部署の品質目標を達成するために自身が担っている役割を認識し実行できる)
  • 品質マネジメントシステム(以下、QMS)のパフォーマンスの向上によって得られた恩恵を含め、QMSの有効性に関する自身の貢献
  • QMSの要求事項に適合しないことにどのような意味があるかに関する認識

例えば、9001番の認証取得が取引の条件であるにもかかわらず、規定されたルールを無視し続けると、外部審査で認証が取り消されてしまう可能性もあります。こうなると取引の停止や、対外的な信用の失墜が考えられます。適合する仕組みがあっても、それを守らなければ意味がないのです

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 7.2 力量

7.2 力量

この項で求められる要求事項は4つです。

1従事している仕事やプロセスに必要な力量を明確にします。更にその仕事に従事する要員に必要な力量を明確にします

2.次に要員が必要な力量を備えていることを確認します。この評価は、教育や訓練、経験に基づいて行います。車の免許のように公的資格が該当する事も多々ありますが、資格のことだけではありません

3.もしも、上記の評価で保有力量が必要な力量を満足していない場合は、必要な力量を身に着けるための処置をとります。例えばバスの運転手の場合、免許がなければ免許を取ります。接客の知識が不足していれば教育します。更に乗客を乗せての運転の経験が不足していれば、OJTによる訓練を行います

4,力量に関しては、力量を証拠として記録を残す必要があります

不足している力量に関する教育や訓練は、短期の場合もありますが、中長期で行う場合もございます。

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 7.支援 7.1資源 

この項では、品質マネジメントシステム(以下、QMS)の確立、実施、維持と継続的な改善に必要な資源を明確にして、提供することを求めています。

資源とは、ヒト、モノ、カネとよく言われますが、時間や機会なども含まれます。ここでは、それらに共通して考慮すべき一般事項です。

まずは、対象に対して必要な資源をはっきりさせます。

例えば、QMSの仕組みの構築のために、事務局という役割が必要だと判断したとします。

その事務局の役割を担う、担当者(人)や、打ち合わせを行うための時間の確保。打ち合わせを行うための場所(会議室など)の確保、仕組みを文書化するためのパソコンのような(モノ)などが必要な資源ではないでしょうか?こういったものを組織は準備し提供する必要がありますよ。というものです。

この資源の提供には考慮すべき但し書きが二行あります。

一つ目は、今ある内部資源(内部のヒト、モノ、情報など)の実現能力と制約です。実現するための能力がなければ、外部資源を活用すべきこともあるかもしれません。制約も同意です。少数精鋭で、内部で全ての工程を賄うことが不可能であれば、同じような代替案を検討します。
資源を用意する事が目的ではなく、『品質マネジメントシステム(以下、QMS)の確立、実施、維持と継続的な改善』の手段として資源を用意するのです。

二つ目は、外部提供者から取得する必要があるものです。

内部だけでなく、外部提供者から取得する必要性についても考慮してください。

上記が明確になりましたら、以降の要求事項にある個別の資源に特有の要求事項について検討します。

7.1.2 人々

QMSの効果的な実施やQMSのプロセスの運用と管理のために必要な人々を明確にして、提供することを、要求しています。

7.1.3 インフラストラクチャ

次にインフラストラクチャ、モノについてです。ただし、注記の中にインフラストラクチャはモノだけでなく、建屋や建屋に関係するユーティリティ(電気やガス、水道など)。設備そのものであるハードとハードを動かすためのソフトウェアも含まれるとあります。製品の輸送のための資源や、情報通信技術などもここに含まれる。とあります。

インフラストラクチャは製品品質に影響を及ぼすものが対象になるとご理解下さい。

7.1.4 プロセスの運用に関する環境

この要求事項は、プロセスを実施する場所の作業環境についてです。

例えば、照度、湿度、温度などそのプロセスからアウトプットされる製品品質の適合性を満足するために必要な項目を特定し、管理基準を設定し、適合できるようにします。

7.1.5 監視及び測定のための資源

7.1.5.1 一般

まず、監視や測定とはどういったことか?を明確にします。

監視測定は検査試験のことという見解もあります。

前半の解説では、監視はモニタリングでる。と説明いたしました。

自社のプロセスにおける、監視や測定にどのようなものがあるのかを明確にして、その監視・測定で使用する資源について明確にして提供することを求めています。

例えば、異物混入防止のためのモニタリング用のカメラと録画装置

製品の欠点を検出するための装置

製品のサイズを測定するためのメジャーやノギスなど

重さを計量するための計りなど

皆さんの製品品質の適合を証明するために必要な監視・測定機器が該当します。

更にこの監視測定装置に関して、実施する監視・測定に対して適切であることとあります。

もし、必要な監視・測定機器が自社にないからといって、適当に代用品を用いることはよろしくないといったイメージです。

長さを図るのであればものさし、重さをはかるのであれば、計り、といった感じでしょうか。

次に適切な監視・測定機器であっても、その結果が正しいものであることを確実にするための管理手順を適用し、維持することを求めています。

上記に関しては監視・測定機器が、監視・測定の目的を満足していることを証明するためのその記録を求めています。

例えば、測定値の正当性が証明されなければならない場合には、校正に出して証明書を取得するなどは記録として有効でしょう。

使用の都度、使用前にキャリブレーションやゼロ設定を行っているのであれば、その行為も該当します。もし、記録を残していなければこれからは記録を残していただくことで、これも該当すると考えます。

7.1.5.2 測定のトレーサビリティ

測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合、と、組織がその測定結果の妥当性に信頼を与えることが必要だ!不可欠だ!という場合には、測定機器に関して以下のことを満足することを求めています。

一つ目は、定められた国際又は国家標準にトレースできる計量標準に照らして、校正又は検証の両方を行う。これは、メーカー校正などを行った有効期限内の標準を使って校正などを行うことを求めています。もし、そういった標準が存在しない場合には、校正又は検証に使用したよりどころ(対象)を記録として残してね。と求めています

二つ目は、測定機器の状態を明確にするために識別を求めています。識別とは、識別できる表示のことだとお考え下さい。

校正や検証が完了している機器ですよ。この有効期限はいつまでですよ。ということが、識別できる表示を行えばOKです。ラベルライターなどに出力し貼付してもよいですが、識別できれば良いので他の方法でもかまいません。

三つ目です。校正の状態やそれ以降の測定結果が無効になるような調整ができないようにすることです。二つ目の表示が簡単に書き換えられたり、破棄されることも避けなければならない事ですね。併せて、損傷や劣化する事がないように管理することを求めています。

最後に、もし測定結果がずれていることなどが判明した場合には、それまでに測定した結果に問題がなかったかの確認を行います。問題に大きさに応じて必要な処置を決定し適用することを求めています。

7.1.6 組織の知識
まず、プロセスの運用に必要な知識と製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識をはっきりさせることを求めています。この知識はノウハウや経験、これまでの実績や結果など様々なものが含まれます。貴社にしっくりくる知識を当てはめてみてください。

この知識は維持して、必要な範囲で利用できる状態にすることも求めています。

例えば、組み立てプロセスに必要な知識として、組み立て作業標準書があるとします。この組み立て作業標準書の最新版を、組み立て作業員が利用できるようにしてね。といったイメージです。

更に、変化するニーズや傾向に取り組む場合は、現在の知識を考慮したうえで、必要な追加の知識と要求される更新情報を得るための方法、又はそれにアクセスする方法を明確にしておくことを求めています。

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定~6.3 変更の計画

この項では、品質目標を確立(設定)する事に関する要求事項が記述してあります。

品質目標とは、品質方針を実現するためのマイルストーンのようなものです。

部署別やプロセス毎、階層毎など組織の規模に応じて設定されるものです。
中小零細企業あれば部署毎に設定するケースが多いのではないかと思います。

トップマネジメントがコミットした品質方針の中で品質目標の設定のための枠組みというものが明示されます。わたくしの場合は、トップマネジメントに、品質目標として取り組んでほしいテーマを決定し、アナウンスしていただくようにしております。

全社一括でアナウンスされる事や、部署別に取り組むべきテーマを提示されるケースがございます。正解はないので、組織の規模やトップマネジメントの意見を聞きながら決定します。

その際、品質目標について満たさなければならない条件が7つ求められています。

一つ目は、品質方針と整合していることです。品質方針と品質目標のつじつまが合わず、ちぐはぐにならないようにしてください

二つ目は、品質目標は測定可能である必要があります。「すごくよくなった」や、「とても少なくなった」などの主観ではなく、「46%向上した」や「50%削減できた」といった形が測定可能な状態です。

三つ目は、もしその品質目標に適用される要求事項があれば、その要求事項も考慮に入れるということです。

四つ目です。品質目標は、製品やサービスの適合(要求事項への適合や品質の向上など)と顧客満足の向上に関係している必要があります。

更に3つあるのですが、品質目標の内容や運用状況その結果を監視(モニタリング)することが求められます。品質目標は、関連する要員が正しく理解し達成のための役割を実行しなければなりません。そこで、要員に対して伝達する事ももちろん重要です。

最後に、必要に応じて品質目標や計画を更新する事も求めています。例えば、目標を達成してしまえば新しい目標に更新する必要があるでしょう。目標達成のために立案した計画では、目標達成が困難もしくはできない場合も計画を更新する必要がある。といったイメージです。

最後にこの品質目標の記録を求めています。書式を決めることで確実性が向上しますが、既存のものがあればそれを利用する事も可能です。大事なことは、様式の中に要求事項を実行したことが証明できる項目があることです。ぜひ、ご検討ください。

6.3 変更の計画
この変更の対象は、品質目標だけでなく、QMSの中で決定した手順やルール全般を指します。最初に変更の必要があるとなった場合、その変更は「エイヤー!」ではなく、計画的に行うことを求めています。

また、4つの視点を考慮する事も求めています。

一つ目は変更の目的はなんであるかを明確にし、変更した結果を考慮する事

次に、変更中も変更後もQMSの整合性が保たれている事

3つ目は、変更に必要な資源を明確にしそれが利用可能であること

最後に、その変更に関する責任と権限を割り当てること。です。

QMSの運用が滞る事や品質や顧客満足の低下は本末転倒です。急な変更だったからは理由になりません。お客様の手元に届いたものがあなたの会社の全てなのです。

Categories
ISO9001 その他 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 6.計画 6.1 リスク及び機会への取り組み 6.1.1~6.1.2

まず、リスクと機会については、9000番規格に用語が定義されています。

リスクとは、「不確かさの影響」とあります。
更に注記の中で、影響とは期待されていることから、好ましい方向又は好ましくない方向に乖離する事をいう。ともあります。

『現状』からみた『ありたい状態』が、『好ましい』又は『好ましくない』方向に『乖離』する事とイメージしてみて下さい。

図:リスク及び機会のイメージ図

規格では、品質マネジメントシステムを計画(仕組みの構築)をする際に、a~dの項目に取り組む必要のある、リスク及び機会を決定しなさい。と求めています。

まず、一つ目では、「QMSがその意図した結果を達成できるという確信を与える。」とあります。上記の図のありたい状態に「QMSがその意図した結果を達成できるという確信を与える。」という文言を当てはめます。このありたい状態について、好ましい方向への乖離(ズレ)とは、どのようなものかを検討してみてください。同じように好ましくない方向への乖離にどのようなものがあるかも決定し明確にします。

同様にdまでの事項について、図に当てはめ、夫々の項目はどのようなものがあるかを検討し明確にします。

最後に明確にしたリスク及び機会に関して取り組みの必要性を評価します。もちろん、全てに取り組むという選択肢もありますが、対象がたくさんある場合、全ての項目に一度に組むことは困難ですので優先順位などを決定します。もしかすると受容するなどの選択肢もあるかもしれません。

この作業が完了したら、6.1.2です。この項では6.1.1で決定したリスク及び機会への取り組みを計画する事を求めています。

また、リスク及び機会への取り組みは既存のQMSのプロセスと統合し実施することも求めています。リスク及び機会への取り組みが、規格要求事項を満足させるだけのものにならないようにする必要があります。

そして、その取り組みの有効性(取り組んだ結果、効果があったか、なかったか)に関する評価も求めています。評価の結果、有効であればブラッシュアップしながら継続しますし、有効性が低ければ、新たに計画し実行していただくことになります。

最後にリスク及び機会への取り組みは、製品及びサービスの適合に対して潜在的な影響とみあったものでなければいけませんよ。と求めています。今現在は異常がなくとも、潜在的に影響が大きいものに対してはより速やかに確実に実施する事が必要です。潜在的な影響がほとんどないものの優先度よりも、より影響のある事項を取り組みを優先させるべきであるという解釈でよいと考えます。

リスクというとネガティブな印象があるかと思いますが、ネガティブなことだけでなく、ポジティブな機会へも取り組むことを求めています。ぜひ、好ましい方向への乖離にも目を向け取り組んでみましょう!

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 5.3 組織の役割、責任及び権限

トップマネジメントの大事や役割として、品質マネジメントシステムに関連する役割に対して、責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され、理解されていることを確実にしてね。というものです。

ここに登場する『確実にする』ための手段は、貴社で決めていただいてOKです。

まずは、どんな役割が必要かを書き出してみましょう。
そして、夫々の役割について、どんな責任があり、そのために必要な権限にはどのようなことがあるのかを書き出します。
最後に、役割に対して決まっていなければ担当者を明確に決めていましょう。
この担当者は最初に決めてもよいと思いますが、担当者っから決めてしまうと、役割や責任がグレーになる事もあるので、担当者はあとで決める方が良いかと思います。

さらに、トップマネジメントに対して5つの責任と権限を具体的に割り当てることも求めています。

a.QMSが規格の要求事項に適合することを確実にする…多くの場合、管理責任者を任命し割り当てます

b.プロセスが、意図したアウトプットを生み出すことを確実にする…プロセスの責任者に割り当てることが多いと思います

c.QMSの成果と改善の機会をトップマネジメントに報告する…管理責任者に割り当てることが多いと思います

d.組織全体にわたって、顧客重視を促進する事を確実にする…お客様窓口や、品証などの部署が行うケースもあります。そういった部署がいなければ、管理責任者に割り当てるケースがあります

e.QMSの変更を計画したり、実施する場合にも、品質保証の仕組みを整った状態で維持する…例えば、不良品が社外流出した理由として、設備の入れ替え中で不慣れだったので不良品が流出しました…という理由は、理由になりませんよね?どんな理由があろうとも、請け負ったからには良品のみを納めてもらわないと困ります。
これも、品質管理責任者に割り当てられることが多い役割かと思います

もともと、同等の責任と権限が割り当てられている場合、わざわざ変更する必要はないと思います。ただし、相反する責任と権限にならないようレビューする事は重要です。

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 5.2 方針 5.2.1 品質方針の確立 ~ 5.2.2 品質方針の伝達

5.2.1では、品質方針を立てて、実施して維持してね。という要求事項です。品質方針で満足すべき事が4つ記述されています。

が、本文に入る前に確認です。

組織や会社の場合、社是や企業理念、経営方針などがある事も多いと思います。言語化されていなくとも、こういう企業でありたい、こうやって社会に貢献したいといった思いもある事でしょう。まず、それが基礎にあっての品質方針だとご理解ください。

ISOはISOだし要求事項に併せて作らなきゃ!と新たに設定すると、方針だらけになってしまいます。サンプルや参考資料の見本から引用すると整合性(つじつま合わせ)を確保するだけでも一苦労だったりします。

まず、自社オリジナルの社是や方針やポリシーがあればそれをベースに!が大原則です。ただし、個人情報保護方針やセキュリティポリシー、環境(経営)方針等、品質以外の項目に特化した方針の場合は、品質方針としての説明が難しくなる可能性が大きいのでご注意ください。

例:品質方針

社是だけで不足しているという場合は、品質やQMSに対する思いを肉付けしながら完成させます。ホームページを拝見すると挨拶などに、トップマネジメントの品質に関する思いがある事が多く、こちらを引用しご提案する事もございます。

品質方針とは貴社の品質に対する思いや考えであると考えます。まず、自社の品質とはどういったものであるかについて明確になっていることが大事です。

5.2.2 品質方針の伝達

品質方針を設定する事はゴールではなく方針を明確にして、それを達成するために伝達する必要があります。このことが5.2.2に記述してあります。

まず、品質方針は文書化する必要があります。伝達するために、暗黙知のままでは難しいですよね。

続いて、組織内には伝達して、理解され、適用されている事。とあります。
不具合会見などを見ていると”周知”という言葉を耳にしますが、周知という言葉は、まさに、伝達し、理解され、確実に実行されている状態です。
つまり、組織内に周知しなさい。と言っています。
手段は、自社に合う方法でかまいません。掲出し、唱和する事も手段の一つです。理解のバラつきをなくすための、解説書をつくって読み合わせてもよいと思います。社員が集合する機会に解説してもよいと思います。

最後に、組織内だけでなく”密接に関連する利害関係者”も入手可能な状態にすることが求められます。

いずれにしても大事なポイントは、『わざわざ』ではなく、今ある仕組みと併せて運用できるようにすることが大事です。

Categories
ISO9001 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 5.1.2 顧客重視

お客様あっての商売ですから、顧客重視に関するトップマネジメントが行うべきことに関する要求事項です。

このために行うべき事として3点記述されています。具体的な要求事項は、この後に登場する項で夫々明確にしていきます。

まず、一つ目はお客様の要求事項と適用される法令や規制要求事項を明確にして、理解して、それを満足し続けること。

二つ目は、製品の適合性や顧客満足を向上させる能力に影響するリスクと機会を決定して、取り組んでいる。

三つ目は、顧客満足向上が大切で重要であるという認識が維持され続けている

5.5.1 一般に書いてある事とは別に、わざわざ独立して記述していることからも、顧客重視がいかに重要なことであるかが理解できると思います。