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ISO9001 その他 品質 品質マネジメントシステム

ISO9001:2015 6.計画 6.1 リスク及び機会への取り組み 6.1.1~6.1.2

まず、リスクと機会については、9000番規格に用語が定義されています。

リスクとは、「不確かさの影響」とあります。
更に注記の中で、影響とは期待されていることから、好ましい方向又は好ましくない方向に乖離する事をいう。ともあります。

『現状』からみた『ありたい状態』が、『好ましい』又は『好ましくない』方向に『乖離』する事とイメージしてみて下さい。

図:リスク及び機会のイメージ図

規格では、品質マネジメントシステムを計画(仕組みの構築)をする際に、a~dの項目に取り組む必要のある、リスク及び機会を決定しなさい。と求めています。

まず、一つ目では、「QMSがその意図した結果を達成できるという確信を与える。」とあります。上記の図のありたい状態に「QMSがその意図した結果を達成できるという確信を与える。」という文言を当てはめます。このありたい状態について、好ましい方向への乖離(ズレ)とは、どのようなものかを検討してみてください。同じように好ましくない方向への乖離にどのようなものがあるかも決定し明確にします。

同様にdまでの事項について、図に当てはめ、夫々の項目はどのようなものがあるかを検討し明確にします。

最後に明確にしたリスク及び機会に関して取り組みの必要性を評価します。もちろん、全てに取り組むという選択肢もありますが、対象がたくさんある場合、全ての項目に一度に組むことは困難ですので優先順位などを決定します。もしかすると受容するなどの選択肢もあるかもしれません。

この作業が完了したら、6.1.2です。この項では6.1.1で決定したリスク及び機会への取り組みを計画する事を求めています。

また、リスク及び機会への取り組みは既存のQMSのプロセスと統合し実施することも求めています。リスク及び機会への取り組みが、規格要求事項を満足させるだけのものにならないようにする必要があります。

そして、その取り組みの有効性(取り組んだ結果、効果があったか、なかったか)に関する評価も求めています。評価の結果、有効であればブラッシュアップしながら継続しますし、有効性が低ければ、新たに計画し実行していただくことになります。

最後にリスク及び機会への取り組みは、製品及びサービスの適合に対して潜在的な影響とみあったものでなければいけませんよ。と求めています。今現在は異常がなくとも、潜在的に影響が大きいものに対してはより速やかに確実に実施する事が必要です。潜在的な影響がほとんどないものの優先度よりも、より影響のある事項を取り組みを優先させるべきであるという解釈でよいと考えます。

リスクというとネガティブな印象があるかと思いますが、ネガティブなことだけでなく、ポジティブな機会へも取り組むことを求めています。ぜひ、好ましい方向への乖離にも目を向け取り組んでみましょう!